「禅譲」と「晩節を汚す」(ビューティービジネス誌より)

「禅譲」と「晩節を汚す」

「禅譲」と言う言葉は、まだまだ自分に力はあるが、あえてその高い地位を後進に譲る、という意味だそうだ。反語ではないが、その逆の場合に用いるのに「晩節を汚す」という言葉がある。どちらの言葉も、一人の人に教えてもらった。“引き際の難しさ”である。


まあくの仕事柄、宝塚歌劇団のOGの方々と、けっこう親しくさせていただいている。みんな、何々組トップスターを極めた人たちだ。彼女たちに、よく“卒業(退団)を決めた時”の話を聞いたものだ。

やはりそれぞれに悩んでいる。トップスター、絶頂期である。ファンには、次ぎは?次ぎは?と期待される。スポットは自分だけに当たり、喝采が衰えることはない。が、その絶頂期に彼女たちは、“引き際”を考える。

潔よすぎるんじゃない?もう1年、せめてもう1本、主演作品残してからでもよかったんじゃない?凡人のまあくなどは、そんな野暮な質問したりしてしまうが、見事に退団したトップスターほど、何の未練の欠片も残していない。

その後の活躍も鮮やかで、あえて「禅譲」したことにより、いよいよ“地位”は向上する。

反対に、はるか昔昔のトップスターで、「晩節を汚した」方も、いたらしい。宝塚ファン関係から聞いた話しだが、その時はファンでさえ、「あなたのことは好きだけど、もうトップはいいんじゃないの?次ぎの若いカッコいい二番手に、譲ってあげて!」との意見が飛び交ったらしい。

執着したい気持ちも、ファンなら内容わかってるだけに理解できる。だからこそ、そんな引退コール噂を聴くのは、ファン自身が一番辛いだろう。

今、晩節を汚しまくっているのは政治家、官僚たちだ。食品偽装の社長たちがそれに続く。


昨日(10月27日)舞台衣装デザイナーのちかちゃんに誘われて「ミュージカル〜THE TAP GUY」を観に行った。おりしも台風東京直撃。雨、突風吹きすさぶ中、律儀に「お約束」守るべく、エイヤ!っと出かけた。余談だが、台風ぐらいでは演劇関係絶対中止になったりしない。交通関係で来られない人は、それはもう本人の運の悪さと、チケット無駄になるのも諦めるしかない、という次第なのだ。

それでも会場(銀座博品館劇場)は満員、チケットはソールドアウトの噂どうり、台風なにものぞ、の人々で溢れている。

脚本・演出・振り付け・主演を一手に担うのは、タップダンスのカリスマと名高い玉野和紀さん。共演はもう一人のタップ界の人気者、HIDEBOHさん(たけしさんの映画「座頭市」でタップ担当)。

この二人が一役で、Mr Bojanglesとよばれた伝説のタップダンサーBill Robnsonを演じる。そんな構成も効いてるし、もう一人の主役、“語り部”でもあるマネージャー役の小堺一機さんもさすがの好演。アンサンブル参加のとしくん(D☆Dメンバー)もよく踊ってたし。

で、一昨日のまあくプロデュース「YEBISU亭」打ち上げの二日酔いにも、台風にも負けないで、来てよかった、の舞台だった。

“68年、ジェリー・ジェフ・ウォーカーによって歌われ、その後サミー・ディビスJrによって大ヒットした「Mr Bojangles」という余りにも有名なこの名曲を、ショービジネスの人々はモチーフとして繁雑にとりあげ、これまでも幾度もステージで歌われ踊られてきた。 

だから、観る者全ての胸の中に、「Mr Bojangles」の自分なりのイメージがあるから、創るほうもプレッシャーだったろう。でも玉野さんは同じタップダンサーとして真摯な目線で、中々の素晴らしい舞台に仕上げられていた。

にしてもである、この「Mr〜」がこれほど、歌い継がれ、踊り継がれ、演じ継がれているのは、彼の孤独な最期への哀切、に他ならない。他人に与えてばかりいて、酒とギャンブルに溺れ、女性に正直だった、一人の天才ダンサー、あるいは天才ボードビリアン、あるいは天才ジャズメン。この歌はBillを彷彿とさせるが、彼そのものがモデルではない。フィクションだ。

ショービジネスの世界の、どこかで邂逅した観る者にとっての“あの男”なのだ。決して自分は絶対なり得ることの出来ない、破天荒で魅力的でとんでもない才能を持つ破滅的な彼、が、いつの世もこの名曲に重なる。

こういう人生こそ実は「晩節を汚す」、の間逆なのかもしれない。「執着」というものが一切ないもの。恐れず「破滅」という名の「真実」(最期)に突き進んでしまうのだ。

昨今の晩節を汚す人たちは、「執着」の塊だ。お金に、ポジションに、名声に、健康に。


いくらお金があっても、そのお金一緒に使う人が、好きでもない人だったら、どうする?

帰りにちかちゃんと焼肉屋さんで食事しながら、そんな話しになった。ちかちゃんの友人の実業家で、突然入院したために、離婚話しが棚上げになった夫婦がいる。自分が死にそうなのに、それ(離婚)どころじゃないんだよ、と、友人は語ったそうだが、ちかちゃんの頭の中は???が飛び交ったそうだ。退院してから時間かけて会社経営の分与とか諸々の事柄をきちんとしなければ、世間体もあるし、とか何とか、らしい。

離婚したい奥さんに看病されて、元気になれるのかな?そういう状況で治療してて、効果とかでるのかな?

このちかちゃんの話しは、晩節を汚してまで執着することって、何なんだろう?に重なる。命を放っておいてまで守りたい世間体って何なんだろう?所謂、「本末転倒」って、感じなのだ。


私たちもそろそろ「禅譲」したいね、と笑ったが、うちらのポジションなんてしんどいだけで何のステイタスもないから、譲られたほうも嫌がるだけだ、と二人。

結局、来月と来年のスケジュール確認し合って、理想の引き際は夢のまた夢、と納得したことでした。


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